名古屋で庭木を守るための完全ガイド|クビアカツヤカミキリの見分け方・被害・対策を徹底解説
名古屋市や愛知県内でも、サクラやウメなどの庭木にクビアカツヤカミキリという特定外来生物が侵入し、被害を広げているという報告が増えています。庭木を大切に育てている方や、公園の桜並木を日常的に目にしている方にとって、「うちの木は大丈夫だろうか」「見つけたらどうすればいいのか」という不安を感じる場面も少なくないはずです。この記事では、実際の写真とあわせてクビアカツヤカミキリの特徴から被害のサイン、日常的な点検方法までをまとめました。専門用語には解説を添えていますので、写真を確認しながら、大切な庭木を守るための参考にしてください。
本記事内の写真は、埼玉県環境科学国際センターが「クリエイティブ・コモンズ 表示(CC BY 4.0)」の下で提供している画像素材を使用しています。すべての画像の著作権者は埼玉県環境科学国際センターです。詳しくはクビアカツヤカミキリの資料用画像素材集(埼玉県環境科学国際センター)をご覧ください。
クビアカツヤカミキリとは
クビアカツヤカミキリは、中国や東南アジアなどを原産地とすると考えられているカミキリムシの一種です。国内では2012年頃から侵入が確認されるようになり、現在では関東地方や近畿地方を中心に、多くの地域で被害が報告されています。下の写真はオスとメスの成虫で、実際に見つけた際の見分け方の参考にしてください。


見た目・体長の特徴
- 成虫の体長はおよそ2.5〜4センチメートルほどとされています。
- 写真のように、全身は光沢のある黒色をしており、遠目にはやや大きめのカミキリムシに見えます。
- 最大の特徴は、頭の後ろにある胸部(首に見える部分)が鮮やかな赤色をしていることです。この「赤い首」が名前の由来にもなっています。
オスとメスの違い
クビアカツヤカミキリは、触角の長さでオスとメスをある程度見分けられるといわれています。一般的にオスは触角が体長よりも長く伸びる傾向があり、メスは体長と同程度かやや短めであることが多いようです。上の2枚の写真を見比べると、オスの触角の方が体に対して長く伸びていることが分かります。ただし個体差もあるため、確実な判別には専門的な知識が必要な場合もあります。
なぜ問題になっているのか
特定外来生物とは
「特定外来生物」とは、外来生物法に基づき、生態系や農林業、人の生活に被害を及ぼす、または及ぼすおそれがあるとして国が指定した生き物のことです。クビアカツヤカミキリもこの特定外来生物に指定されており、生きたまま運搬したり、飼育・保管・販売したりすることは法律で禁止されています。
被害が全国へ広がっている背景
クビアカツヤカミキリは、輸入された梱包資材や苗木などに付着して国内に侵入したのではないかと考えられています。日本国内には天敵となる生物が少ないうえ、繁殖力が非常に強いため、一度定着すると分布が広がりやすいという特徴があります。
愛知県や名古屋周辺での発生状況
愛知県内では2012年頃に海部地域への侵入が確認されており、その後も防除の取り組みが続けられてきました。名古屋市内でも2019年6月に初めて確認されたことが公表されており、市民からの情報提供を呼びかける取り組みが行われています。現時点での被害規模は関東地方などに比べると限定的とされていますが、油断せず早期発見・早期対応を心がけることが重要です。
被害が拡大する理由
- メス1頭が数百個から千個近い卵を産むといわれるほど、繁殖力が非常に強い。
- 幼虫は樹木の内部に潜んで成長するため、外からは被害に気づきにくい。
- 成虫は飛翔能力があり、周辺の樹木へ次々と移動して産卵する。
- 発見や駆除が遅れると、被害が短期間で近隣の木々へ広がってしまう。
被害を受ける樹木
クビアカツヤカミキリの幼虫は、主にバラ科の樹木を好んで加害することが知られています。国内で被害が集中している樹種は次の通りです。
| 樹種 | 被害の傾向 |
|---|---|
| サクラ | 公園や街路樹での被害報告が多く、最も注意が必要とされる樹種のひとつです。 |
| ウメ | 庭木や梅林での被害が報告されています。 |
| モモ | 果樹園での被害が全国的に問題となっています。 |
| スモモ | モモと同様に果樹として栽培される地域で被害が見られます。 |
| ハナモモ | 観賞用として植えられる庭木でも被害の可能性があります。 |
| アンズ | 他のバラ科樹木同様、加害対象となり得るとされています。 |
| その他バラ科樹木 | 海外では上記以外の樹種への被害も報告されており、注意が呼びかけられています。 |
発生時期とライフサイクル
クビアカツヤカミキリの活動には、季節ごとにおおよその流れがあるとされています。卵と幼虫の写真もあわせて確認してみましょう。
- 成虫が見られる時期:主に6月から8月頃にかけて成虫が活動し、樹木の周辺で目撃されやすくなります。
- 産卵:成虫のメスは、樹皮の割れ目や傷ついた部分などに卵を産みつけると考えられています。
- 幼虫:ふ化した幼虫は樹木の内部に入り込み、木質部を食い荒らしながら1〜2年程度、樹の中で成長するといわれています。
- 羽化:十分に成長した幼虫は樹木内でさなぎとなり、初夏頃に成虫として羽化して外に出てきます。


写真のように、卵や幼虫は樹皮の内側や木質部の奥に隠れているため、外から直接見つけることはほとんどできません。だからこそ、次に紹介するフラスなどの外的なサインを日頃からチェックすることがとても重要になります。
フラスとは何か
「フラス」とは、幼虫が樹木を食べる際に排出する、木くずとフン(排泄物)が混ざったもののことを指します。クビアカツヤカミキリの被害を発見する上で、最も分かりやすい手がかりのひとつです。下の写真のような粒状のものが幹の周りに見られたら要注意です。

見た目・色の特徴
写真のように、フラスは細かい木くず状の粒とやや粘り気のある部分が混じり合ったような見た目をしていることが多く、色は木の色に近い薄茶色から赤褐色まで幅があるとされています。
木くずとの違い
単なる木くずと異なり、フラスにはフン由来の成分が含まれるため、粒がやや不揃いで、湿り気を帯びていたり、独特のにおいを伴っていたりすることがあります。風で飛ばされる乾いたおがくずとは質感が異なる点が見分けるポイントです。

見つかる場所
上の写真のように、フラスは樹木の根元や幹の割れ目、樹皮の隙間などから排出され、地面や樹皮の表面に堆積していることが多いとされています。特に幹の根元付近は要チェックのポイントです。
見つけたらどうするか
フラスらしきものを見つけた場合は、むやみに取り除いたり樹皮を大きく剥がしたりせず、まずは写真を撮り、自治体の担当窓口や専門機関に相談することが勧められています。
被害の進行
初期症状
幼虫が侵入したばかりの初期段階では、樹木の外見に大きな変化が見られないことも多く、フラスが少量出ている程度で気づかれないケースもあるとされています。
中期
幼虫の食害が進むと、フラスの量が明らかに増え、樹皮の一部が変色したり、樹勢がやや弱まったりする様子が見られることがあります。下の写真は、成虫が羽化して脱出した際にできる穴です。このような穴が見られる場合、すでに樹木内部でかなり食害が進んでいる可能性があります。

末期
被害がさらに進行すると、幹の内部が大きく空洞化し、葉の量が減る、枝が枯れ込むといった衰弱の症状が目立つようになるといわれています。
倒木リスク
幹の内部が食い荒らされて空洞化が進むと、強度が低下し、強風時などに倒木や幹折れのリスクが高まる可能性があります。下の写真は、被害が進行して枯死してしまったサクラの様子です。公園や道路沿いの樹木では、周囲の安全にも関わる問題となるため、早期の発見と対応が特に重要です。

見つけたときの対応
成虫を見つけた場合
クビアカツヤカミキリの成虫らしき個体を見つけた場合は、生きたまま持ち帰ったり飼育したりすることは法律で禁止されています。まずは可能であれば写真を撮影し、発見場所とあわせて自治体の窓口に情報提供することが推奨されています。この記事で紹介した写真と見比べながら、特徴が一致するか確認してみてください。
幼虫がいる場合
樹皮の内部に幼虫がいることが疑われる場合、自己判断で樹木を大きく傷つけるような作業は避け、専門知識を持つ業者や自治体、森林・樹木の相談窓口に状況を伝えることが望ましいとされています。下の写真は、幼虫が木質部を食い進んだ跡(食痕)です。

自分でできる応急処置
- フラスの発生箇所を写真に記録しておく。
- むやみに薬剤を散布したり樹皮を削ったりせず、まずは状況を確認する。
- 周辺の樹木にも同様の症状がないか、あわせて確認する。
自治体へ相談するケース
フラスや幼虫の痕跡らしきものを見つけたとき、被害かどうか判断に迷うときは、早めに自治体の環境部局などの相談窓口に連絡することが勧められています。多くの自治体では、通報フォームや電話での相談を受け付けています。
庭木を守るための日常点検
クビアカツヤカミキリの被害は、日頃からのこまめな観察によって早期に発見できる可能性が高まります。ここまでの写真を参考にしながら、以下のチェックポイントをもとに、月に1回程度を目安に庭木の様子を確認してみましょう。
月1回のチェックポイント
チェックリストを見る
- 幹の根元や地面付近にフラスのようなものが落ちていないか
- 樹皮に割れ目や穴、変色した部分がないか
- 幹を軽く叩いたときの音や感触にいつもと違う点がないか
- 葉の量や色つやに急な変化がないか
- 周辺の同じ種類の木にも同様の症状が出ていないか
季節ごとに見るポイント
- 春:新芽や花のつき方に元気がないところがないか確認する。
- 夏:成虫の活動時期にあたるため、幹や周辺で成虫を見かけないか、フラスの量が急に増えていないかを重点的に確認する。
- 秋:葉の色づきや落葉の様子がほかの木と比べて極端でないかを見る。
- 冬:落葉後は幹や枝ぶりが確認しやすくなるため、樹皮の状態をじっくり観察する。
フラスの探し方
フラスは幹の根元付近に堆積しやすいため、まずは地面や幹の下部を中心に確認するのがおすすめです。雨が降った直後は流されて見えにくくなることもあるため、晴天が続いたタイミングでの観察が見つけやすいとされています。すでに被害が確認された地域では、下の写真のような防虫ネットを幹に巻いて成虫の飛来や産卵を防ぐ対策も行われています。

よくある質問
クビアカツヤカミキリは人を刺したり噛んだりしますか。
人体に直接的な害を及ぼす害虫ではないとされていますが、むやみに素手で触れることは避け、発見した場合は観察・記録にとどめることが勧められています。
フラスと普通の木くずはどう見分ければいいですか。
記事内の写真のように、フラスは木くずとフンが混ざったもので、粒がやや不揃いで湿り気やにおいを伴うことがあります。乾いたおがくずとは質感が異なる点が見分けるポイントとされています。
自宅の庭木にフラスらしきものを見つけたらまず何をすればいいですか。
写真を撮って発見場所を記録し、自治体の窓口や専門機関に相談することが推奨されています。
クビアカツヤカミキリはどこから日本に侵入したのですか。
輸入された梱包資材や苗木などに付着して国内に持ち込まれたのではないかと考えられていますが、詳しい経路については引き続き調査が行われています。
名古屋市内ではいつ頃から発見されていますか。
名古屋市内では2019年6月に初めて確認されたことが公表されています。愛知県内では2012年頃から侵入が確認されている地域もあります。
被害が進むとどのくらいで木が枯れますか。
被害の進行速度は樹木の状態や被害規模によって異なるとされており、一概に期間を断定することは難しいですが、内部の食害が進むと数年単位で樹勢の低下や枯死につながる可能性があるといわれています。
市販の殺虫剤で駆除できますか。
幼虫は樹木の内部にいるため、表面への薬剤散布だけでは十分な効果が得られない場合があります。対応方法については自治体や専門機関に相談することが勧められています。
クビアカツヤカミキリを見つけたら捕まえてもいいですか。
特定外来生物に指定されているため、生きたまま持ち帰ったり飼育したりすることは法律で禁止されています。発見情報を自治体に伝えることが基本的な対応になります。
公園の桜並木でフラスを見つけた場合はどうすればいいですか。
公園を管理する自治体や施設管理者に、発見場所と状況を伝えることが勧められています。
被害を受けた木は伐採するしかありませんか。
被害の程度によって対応は異なるとされており、早期であれば防除によって被害の拡大を抑えられる場合もあります。判断は専門家や自治体への相談を通じて行うことが望ましいとされています。
庭にサクラやウメを植えていない場合でも注意は必要ですか。
被害を受けやすい樹種を植えていない場合でも、周辺の公園や近隣の庭木で被害が発生していると成虫が飛来する可能性があるため、地域全体での情報共有が重要とされています。
フラスを見つけたが、クビアカツヤカミキリかどうか自信がありません。相談してもいいですか。
被害かどうか判断がつかない場合でも、写真を添えて自治体の窓口に相談することが推奨されています。
まとめ
クビアカツヤカミキリは、サクラやウメをはじめとするバラ科の樹木に深刻な被害をもたらす特定外来生物です。名古屋市や愛知県内でも侵入・確認の報告があり、決して他人事ではありません。被害は樹木の内部で静かに進行するため、この記事で紹介した成虫・幼虫・フラス・脱出孔などの写真を頭に入れておくことが、早期発見の大きな助けになります。日頃からのこまめな観察を習慣づけ、もし気になる症状を見つけた場合は、自己判断で対応するのではなく、写真を記録したうえで自治体などの窓口に相談することが、大切な庭木や地域の緑を守る第一歩になります。
本記事で使用した写真の提供元:埼玉県環境科学国際センター(クビアカツヤカミキリの資料用画像素材集/クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0)